第12章
中野功の今後
僕は今、人生で最後の大きな試練から這(は)い上がろうとしてるんです。大腿(だいたい)部軟部悪性腫瘍というガンなんですよ。
去年の秋ごろ、膝が腫れて長岡の町病院に行ったんです。取りあえず軟こうを塗って2週間くらいしてまた来いと言われて。で、2週間して行ったらすぐ総合病院に行けと言われて、レントゲンを撮ったら、日赤に行けと言われて。そこでCTを撮って今度は新潟大学病院行けと言われて、そこの先生にガンです、と言われました。
「今後の処置の仕方として、腫瘍を切除し、放射線治療をします」と聞かされました。手術する10日くらい前まで15キロくらいほぼ毎日歩いてたんだから、もしかしたらもっと早くに検査していればうまくいったかもしれません。けど、これは過ぎたことですからね。
手術の経過が悪く、すごく痛くてね。それで、もういいよ切ってよと言って。その年の12月に左足を切断しました。
リハビリして歩けるようになってきた矢先、5月の連休過ぎに、脚のリンパに転移してることがわかって、今度はまたそれを切除して。それが終わってから次は45日間入院して放射線をやって、明後日また検査ですね。
正直、この年になってこんな病気もらうとは思ってなかった。経済的にはある程度余裕があって何でもできるはずなのに、何もできなくなってしまった。こんなふうに人生何が起きるかわからないんだから、悔いを残さないように生きなきゃならないんだよね。
脚を失って思ったのは、社長でバリバリ働いているときじゃなくてよかったな、ということ。これは本当に不幸中の幸いでしたね。後継者にも恵まれ、業績も良い状態で次の段階にいこうとしていますから。
まぁいい人生だったんじゃないですか。上見てもきりがないし、下見てもきりがないですからね。
感謝、感謝。